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特殊堤防の地震時残留変形解析

概要
東京下町のいわゆるゼロメートル地帯における特殊堤防を対象に、直下型地震時(レベル2相当)の液状化流動変形(沈下)をALID/Winでシミュレートし、地震時の被害を検討した例です。
*)この例は、”NHKスペシャル「首都直下地震−浮かび上がってきた危険−」(平成18年9月1日放送)”で紹介された、安田進東京電気大学教授(ALID研究会座長)による研究成果を元に作成したものです。
解析条件
 
  想定地震動
レベル2タイプU:0.6G(地表面)

  堤体構造
本体:逆T型コンクリート堤防
基礎:杭基礎(鋼管:φ600、L=20m)
*前面に鋼矢板(V型、L=13m)

  液状化物性
液状化対象層:C上部砂質土、A下部砂質土
C上部砂質土:層厚7m、RL=0.28、Dr=50%
A下部砂質土:層厚13m、RL=0.31、Dr=60%

  液状化時の低下剛性
安田・稲垣の式(RLとFLから低下剛性G1を推定)
解析手順
 
  1)常時応力解析
地震前の現況地盤応力を求める

  2)液状化安全率計算
液状化抵抗率FLは、要素毎に、道路橋示方書の算出式に準拠して算出する(ALID/Winで自動計算)

  3)液状化流動・残留沈下解析
2)のFL分布を用いて液状化流動、および、過剰水圧消散に伴う沈下解析を行い、残留変形を求める
ノート
この例での堤防天端変形量は沈下0.98m、側方変位0.63m(川表側)で、堤防は川表側へ約9度傾く結果となりました。また、堤体土が流出したことにより堤防本体底面と盛土の間に隙間ができることが変形図から解りました。この結果、河川水が堤内へ流入して地震水害を生じることが懸念されます。

解析モデル
・地盤は線形弾性モデルを適用

土質ブロック図



モデルメッシュ図



液状化安全率算定結果

FL値分布図(簡易法)



残留変形解析結果

変形図



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